新しい財産管理・相続のかたち『家族信託』

静岡県富士市の司法書士で初めて『家族信託専門士』の認定を受けた司法書士が家族信託についてご紹介します。

家族信託とは

現在5人に1人は認知症と言われている超高齢化社会の現代において、老後の財産管理や相続対策の新しい手法として注目されているのが、「家族信託」です。家族信託は、ご自身が持つ財産を信頼できる家族に託して管理、運用、処分してもらう財産管理の方法です。
家族信託を利用すれば、従来の制度では実現困難だった相続の方法や成年後見制度の問題点を解決することができます。
しかし、家族信託は一般の方にとっては複雑で理解しにくい制度のため、メリットやデメリットが分かりにくく、利用を迷っているとの声も多く聞きます。そこで、家族信託の活用法については家族信託を理解した司法書士のコンサルティングを受けながら検討するのがおすすめです。
ここでは、家族信託について具体的にイメージしていただくために、基本的な仕組みやメリットなどについてご紹介します。

家族信託はどのようなときに利用する制度か

不動産の所有者が認知症になった場合、原則不動産の売却はできず、資産が凍結されます。
∵売却の意思の確認ができないため

家族信託の主な利用場面

自宅など不動産を所有者の方が認知症になってしまった後でも、お子さんなどにより不動産をスムーズに売却できるようにするために用いられます。

前述のとおり、認知症などにより意思表示ができなくなると不動産については原則売却できなくなります。
対応策としては、相続発生まで待つか成年後見制度を利用するしかありません。しかし、相続発生まで何年もかかる可能性もあり、成年後見人制度については、専門職が成年後見人に就任すると一定額の報酬が発生するなど負担が大きいといった問題点もあります。

そこで、家族信託を利用し、あらかじめお子さんなどにご自分の財産を預けておけば、いざ認知症になったとしても、相続や成年後見制度などによらず、お子さんの権限で所有者の代わりに不動産を売却できるようになります。
家族信託は、不動産凍結のリスクを回避し、医療費や介護費などを確保できるようにする制度として多くのメディアにも取り上げられています。

家族信託の仕組み

家族信託とは、所有者(委託者)が持っている資産を信頼できる家族に預け、処分や管理を任せることにより、預けた資産から生まれる利益を元の所有者(受益者)に還元する制度をいいます。

例えば、高齢になり将来の財産管理や独り暮らしに不安を持つ父Aさん(委託者)が、所有している自宅の管理・処分をお子さんのBさん(受託者)に任せ、将来施設に入り、自宅が空き家になったタイミングでBさんに自宅を売却してもらい、その収益をAさん自身(受益者)が受け取るというようなケースが家族信託になります。

家族信託は、資産家の方のみが利用する制度ではなく、ごく一般家庭の方が利用することを想定して設計された制度といえます。

成年後見制度との比較

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症などによって判断能力が低下した人のために、「成年後見人」という法定代理人を裁判所が選任する制度です。

成年後見は、本人が認知症になってしまった場合に、家族等が本人に代わって家庭裁判所に申立てをおこない後見制度の利用を認めてもらう方法です。成年後見制度が必要かどうかの判断は家庭裁判所が判断能力の有無を確認して決定します。

財産管理をする後見人に誰が就任するかは裁判所が最終決定権を持ちますが、現状、弁護士、司法書士などの専門職が全体の7割を占めています。

成年後見制度のデメリット

成年後見制度を利用したとしても、好き勝手に財産管理ができる訳ではありません。成年後見人の任務は本人の財産の維持・保全です。そのため、自宅の売却には裁判所の許可が必要であり、投資やアパートの建て替えなどは基本的に認められません。

さらには、成年後見制度を利用すると、様々な負担が発生します。。たとえば、成年後見人には、定期的に家庭裁判所へ報告を行う義務が課され、家庭裁判所の監督を受けることになります。さらに、弁護士や司法書士等の専門職が後見人(または後見監督人)に選任された場合には、その専門職に支払う報酬が発生します。報酬額は、管理財産にもよりますが月2万円から5万円程度になります。平均月3万円だとしても、毎年36万円の資産が本人から流出することなります。

このようなデメリットがあったとしても、本人が認知症発症後では成年後見制度を利用する以外に本人の財産を管理することはできません。

家族信託のメリット

家族信託は信頼関係を基礎とした契約なので,幅広い権限を財産を預かる人(受託者)に与えることができます。成年後見制度ではできなかった自由な財産管理が可能となります。

  • 信託契約の内容は当事者間で自由に設計することができる
  • 自宅の売却はお子様(受託者)のタイミングでできる
  • 内容によっては、アパートの購入など積極的な投資も可能
  • 家庭裁判所の監督は受けない
  • 財産管理にかかる定額の報酬などは不要
  • 贈与税や不動産取得税など発生せずに名義を移すことができる
  • 遺言的効果により死亡後の財産に承継先を決めることができる

家族信託のご相談

家族信託の仕組みはわかりにくく、専門性が要求されます。そのため、家族信託を活用するメリットを大きくするには、司法書士等の専門家にコンサルティングやサポートを受けるのがおすすめです。近年、家族信託が注目されるようになって、家族信託のコンサルティングを弁護士、司法書士、行政書士などが様々な業種が行っています。しかし、弁護士、司法書士、行政書士の事務所ならどこに依頼しても家族信託についてコンサルティングやサポートが受けられるわけではありません。
家族信託は複雑なため、家族信託に関する詳しい知識をもっていない専門家では対応してもらえない、対応してもらえても想定外の信託内容になってしまう場合など不都合が生じる場合もあります。。そこで、家族信託のコンサルティングやサポートを依頼する場合には、知識と実績が豊富な専門家を選ぶ必要があります。

当事務所は『家族信託専門士』の認定を受けた司法書士が在席しています。家族信託の専門研修を受けているため、様々な事案に対応可能です。さらに成年後見制度にも精通しているため、各ご家庭の状況に応じて臨機応変なご提案をすることができます。

家族信託についてご相談の方はお電話もしくは下記のお問い合わせ対応フォーム又はLINEからご予約下さい。

家族信託はあくまで認知症の事前対策となりますので、すでに認知症がある程度進行している場合にはご対応できかねる可能性もあります。
お早めのご相談をオススメいたします。

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