簡単に相続放棄について解説しております。
お急ぎの方は、記事の方がわかりやすいかと思いますので、下記にお進みください。
(旧事務所での撮影のため、現在とは事務所の雰囲気が異なりますのでご留意ください)
- 相続放棄手続きの方法を知りたい
- 相続放棄での失敗
- 相続放棄のデメリットを知りたい
相続放棄をこれからやろうと思われている方は様々な不安があると思います。
相続をしないと決意した場合、早急に手続きをしないと相続放棄手続きができなくなってしまいます。
相続放棄手続きとは
相続放棄とは、亡くなられた方の遺産のすべてを引き継がないようにするため、相続人が行う手続きのことです。
相続人になった場合、亡くなった方がお持ちのすべての遺産を引き継ぐことが原則となります。その遺産の中にはプラスの遺産だけではなく、マイナスの遺産(借金・負債)も含まれてしまいます。
マイナスの遺産(借金・負債)を引き継いでしまった場合、相続人は返済をしなければなりません。
そこで、マイナスの遺産(借金・負債)を引き継がないために、相続人には「相続放棄」という方法が用意されています。注意点としては、マイナスの遺産(借金・負債)だけではなく、遺産のすべてを引き継がない(プラス・マイナス含めて)ということに注意が必要です。
相続放棄をした人は、その相続については、最初から相続人でなかったものとみなされます。そのため、被相続人がマイナスの遺産(借金・負債)を抱えていた場合でも、支払をする必要がなくなります。
相続放棄の注意点
相続放棄は撤回をすることができません。
本当に相続放棄をすべきかは、慎重に検討した上で行って下さい。
財産調査
相続放棄の前提として財産調査をする必要があります。
相続人として亡くなった方(被相続人)の預貯金・株式・不動産などの調査を行います。
マイナスの資産(負債等)については、信用情報機関に開示手続きをすることが一般的です。
それぞれに亡くなった方(被相続人)信用情報が保管されていますので、負債の状況などを確認することができます。
しかし、確認できるのは銀行・消費者金融などから借り入れした分に限られます。個人から借り入れしたものについては信用情報に記載はされないので、事実上調査は困難といえます。
相続放棄は3ヶ月以内に行うことが必要
相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に手続きを行わなければなりません。
亡くなった方の遺産内容がわからない場合、3ヶ月の期間内に調査を行う必要があります。期間内に調査が終わらない場合、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立をすれば、3ヶ月の期間が延長されることもありますが、絶対ではないので極力3ヶ月以内に調査を終えるようにしましょう。
もし、期間を過ぎてしまった場合でも、事情により相続放棄が認められるケースもありますので、諦めずにご相談下さい。
すべての遺産を放棄することになります
相続放棄とは、相続人でなくなる手続きです。その結果、文字通りすべての遺産=プラス・マイナスすべての遺産を引き継がないことになります。
マイナスの遺産(借金・負債)のみ放棄すると言ったことはできません。
相続放棄をするべき人
相続放棄の手続きを検討すべきケースはマイナスの資産(負債)の額が、明らかにプラスの資産を上回っている場合です。
また、相続手続きに関与したくない人や相続の紛争に巻き込まれたくない人も相続放棄を検討すべき人といえます。
相続放棄手続きの方法
相続放棄の手続きの流れをご説明いたします。
- 亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本、住民票除票又は戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
※必要な戸籍は、亡くなった方との関係性で変わるため、上記以外に戸籍が必要なケースもあります
印紙代 800円
郵便切手 各裁判所により様々なので、各管轄裁判所にお問い合わせ下さい
亡くなった方(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄裁判所になります
富士市・富士宮市でお亡くなりになった方は、静岡家庭裁判所富士支部が管轄となります
相続放棄の申し立てをすると裁判所より回答票が送られてきます。適切に回答して裁判所へ返送します
回答内容により相続放棄が認められないこともありますので、ご注意下さい
相続放棄が認められると、相続放棄の受理通知書が家庭裁判所より送られ、手続きが完了します
相続放棄をするうえで知っておくべきこと
相続放棄をする際に知っておくべきことを解説します。
相続放棄しても管理義務は残る【2023年法改正により変更】
相続放棄をしても、相続財産管理人が選任されるまで相続財産の管理義務は継続します。
2023年法改正により管理義務の範囲が変更されました。2023年以降は、「放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限り、保存義務が継続することになります。
つまり、相続財産に空き家があった場合など、老朽化して倒壊し他人にケガなど被害を及ぼした場合、相続放棄をしていたとしても管理責任上、損害賠償請求をされる可能性があることなります。
相続財産清算人を選任することで、保存義務を回避することもできます。詳細はお問い合わせ下さい。
相続放棄をしても受け取れる財産
相続放棄をしても生命保険金や遺族年金などは受け取ることができます。
受取人が指定されている生命保険や遺族年金はその受取人固有の資産となりますので、遺産とは分別されます。
相続順位が変動します
相続放棄をすると相続順位が変わります。
配偶者は常に相続人となるため、相続放棄をしても相続順位に変動は生じません。
- 第一順位 子供
- 第二順位 両親
- 第三順位 兄弟
このように子供が相続放棄をしただけでは、終わりになりません。結果的には親族全員で相続放棄をしないと親族の誰かが負債を負ってしまう可能性があります。
相続放棄をする際は親族間であらかじめ話し合いを持つことが、その後の親族間でのトラブルを防ぐ上で必要です。
相続放棄の手続きの期間をすぎると?!
相続放棄の可能期間である「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」を過ぎてしますと原則、単純承認といって、相続することを承認したものと扱われます。
単純承認してしまうとその後相続放棄をすることはできません。
仮に相続放棄の期間が3ヶ月ということを知らなかったとしても、原則、3ヶ月過ぎた時点で単純承認したものとなりますので、注意が必要です。
相続放棄を自分でした人の失敗談
【失敗談1】相続放棄を裁判所でやることを知らずに相続放棄が不可能に
相続放棄は、裁判所で手続きをしなければ完了できません。
Aさんは、そのことを知らず、身内同士で相続しないと決めたことをもって相続放棄が完了したと勘違いしていまい、3ヶ月を経過してしまい、負債を負ってしまいました。
【失敗談2】死亡した兄弟の借入金を支払って終わりかと思っていたら
Bさんのところに、死亡した兄弟が追っていた借入金が請求が来ました。払えない金額ではなかったため、支払ったが、実際は借入金の一部でしかありませんでした。
他の相続人が相続放棄をした結果、Bさんが借入金額の全額を追うこととなり、気がついたときには相続放棄ができなくなってしまっていた。
結果、Bさんは1000万円を超える負債を負ってしまい、支払うことになってしまいました。
まとめ
相続放棄手続きをする場合、亡くなった方(被相続人)の資産がどのような状況にあるか把握することがまず必要です。
そのうえで、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続するか、相続放棄をするか検討しなければなりません。また、相続放棄をすることによりどのようなデメリットが存在するのか正しく理解することも必要となります
相続放棄に失敗は許されません。
万全を期すためには、法律専門職(弁護士・司法書士)へ相談することをおすすめします。