司法書士さん、夫の名義である家を私の名義に変更したいんです。でも、どうすればいいのかさっぱりわからないんですよ。
名義変更はちょっとした手続きが必要ですが、ご安心ください。法的な流れと注意点について、一緒に見ていきましょう。
本当に助かります! では、どうぞよろしくお願いします。
もちろんです。名義変更に関するすべての疑問を解決しますので、何でもお尋ねくださいね。
不動産の名義変更は日常生活では一般的ではないため、多くの人々にとってわからないことだらけです。特に、夫から妻への名義変更は、贈与、相続、財産分与など、異なるシーンで異なる手続きが必要です。この記事では、これら3つの主要なシーンを詳細に解説し、みなさま自身の状況に合った最適な手法を見つけるための解説をさせていただきます。
贈与による名義変更
はじめに、贈与による名義変更について、説明します。贈与は最も多く利用される方法の一つですが、手軽に出来る代わりにデメリットもあります。
夫から妻へ名義を贈与により変える際には、メリット・デメリットについて検証したうえで、慎重に行いましょう。
贈与の流れと手続き
贈与による名義変更は、財産を生前に移転する方法です。具体的には、以下のステップが必要です:
贈与する意思を確認し、受け取る人の合意を得ます。
贈与契約書や登記申請書など名義変更に必要な書類を用意します。
贈与契約書・その他名義変更に必要や書類の署名押印を行います。
管轄地域の法務局に登記申請を行います。法務局の審査が終了すると、権利証が発行されます。
贈与税が発生する場合は、贈与税の申告と支払いが必要となります。
贈与による「夫から妻への名義変更」のメリット
贈与は、手続きが簡単で最も多く利用される方法です。手続きとしては、贈与者が無償で渡す意思があり、受贈者が受け取る意思があれば、贈与契約は成立します。
その内容が反映された贈与契約書に署名押印するだけで、贈与の手続きが完了し、あとは名義変更手続きを行うだけで完了します。
手続きや複雑な法律などが絡まないのが、贈与のメリットです。
贈与による「夫から妻への名義変更」のデメリット
贈与の場合、贈与の対象金額が年間110万円を超えると贈与税が発生します。一般的に土地や建物は高額であることが多いため、大半のケースでは、110万円を超えて贈与税が課税されます。
贈与税は高額になることが多く、税金の負担が大きいのが贈与のデメリットといえます。
ただし、夫婦間の贈与や、親から子への贈与などは贈与税の特例措置により、贈与税がかからなくなる場合もあります。特例を上手に使い生前贈与を行っている人もいらっしゃいます。
贈与税の計算と節税方法
贈与税は、贈与された財産の価値に応じて計算されます。
専門家に相談の上、計画的に行うことで節税ができることもあります。具体的な計算方法や節税策については税理士などの専門家と相談することが必要です。
贈与税は基礎控除が年間110万円あります。
参考:一般贈与の税率計算表
課税価格範囲 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
基礎控除後〜200万円 | 10% | ‐ |
200万円超〜300万円 | 15% | 10万円 |
300万円超〜400万円 | 20% | 25万円 |
400万円超〜600万円 | 30% | 65万円 |
600万円超〜1,000万円 | 40% | 125万円 |
1,000万円超〜1,500万円 | 45% | 175万円 |
1,500万円超〜3,000万円 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
夫婦間の贈与の特例と注意点
夫婦間の贈与には、特例措置が適用されることがあります。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
- 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
- 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であるこ
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
しかし、その条件は厳格で、誤った手続きにより特例の適用を受けられない場合もあるため、税理士などの専門家との相談が必要です。
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相続による名義変更
相続の手順と名義変更のタイミング
夫が亡くなった場合、妻が相続人となり名義変更が必要になります。この手順は以下のように進みます
戸籍謄本等の必要書類の収集
戸籍謄本を確認して、相続人を確定させます。戸籍は亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要です。
遺言書の有無の確認
公証役場や法務局で遺言書の有無を確認します。
遺産分割協議
相続人全員で、遺産分割協議を行い、遺産の配分方法を決めます。遺産分割協議は、相続人全員でおこなわなければ無効となります。
相続登記の申請
法務局へ相続登記を申請します。不動産の管轄が異なる場合は、それぞれの管轄法務局に相続登記を申請します。
相続による名義変更の場合、令和6年4月1日から義務化される関係で、相続開始を知ってから3年以内に行う必要があります。
相続税の影響と対策
相続税は、相続財産の価値に応じて課税されます。早めの対策と計画により、税負担を軽減することができます。具体的には、生前贈与や生命保険などが有効です。
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夫の死亡後の名義変更のケース
夫の死亡後、妻が相続する場合の名義変更は特に注意が必要です。遺産分割協議が難しい場合や相続人が多い場合など、スムーズに名義変更が出来ない状況になるケースもあります。
そうならないために相続対策をすることをお進めします。
財産分与による名義変更
離婚に伴う財産分与と名義変更
離婚に伴う財産分与は、夫婦間での協議が必要です。特に、共有財産である不動産の名義変更は、以下のステップで進められます
夫婦で離婚に伴う財産の清算を話し合います。
契約書は、私文書で作成するケースと公正証書で作成するケースがあります。養育費など今後定期的に金銭を渡す契約になっている場合は公正証書で作成した方が無難でしょう。
財産分与契約に従って、不動産の名義を変更します。
名義変更前に住宅ローンの確認
財産分与の対象となっている不動産に住宅ローンが残っている場合は、注意が必要です。
金融機関の承諾を得ずに、不動産の名義変更を行うと金融機関との契約違反になり、残債務を一括返済を求められることがあります。
基本的には、事前に金融機関との協議が必要になりますが、必ずしも金融機関が応じてくれるとは限りません。その場合、別の金融機関への借換も検討した方がいいでしょう。
財産分与の法的側面と契約書の重要性
財産分与は法的な契約となります。契約書は私文書でも公正証書でも効力は発生します。
不動産の名義変更のみの契約であれば、私文書でも問題ないと思いますが、同時に養育費や金銭の分割返済などの契約を財産分与契約に盛り込みたい場合、公正証書で作成した方がいいでしょう。
家の名義変更で必要な主な費用
家の名義変更をする場合を含め、不動産の名義を変更する場合、様々な費用が発生します。簡単に費用をご説明します。
家の名義変更の税金
家の名義変更の方法により、発生する税金は変わってきます。
・贈与:贈与税、不動産取得税、登録免許税
・財産分与:登録免許税
・相続:相続税、登録免許税
財産分による場合は、基本的に税金はほとんど気にしなくても大丈夫ですが、財産分与の内容により贈与税等が発生するケースもあります。具体的には税理士などの専門家にご相談ください。
まとめと今後のステップ
家の名義変更を行う場合、様々な税金や諸費用が発生します。そのような費用を出費してもなお、名義変更が必要なケースはあります。様々な名義変更の方法を検討して、あらかじめ必要な費用などを比較検討することがオススメです。
名義変更ごとにメリット・デメリットはありますので、どの手続きが最適化は司法書士や税理士などの専門家にご相談ください。
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山本真吾